評判通りなカンヌ映画祭パルムドーム受賞作でした!
オールドボーイあたりから韓国映画を好きになり今にいたります。
痛みが観客に直に伝わる粗削りな感じがお気に入り。
ちょっと北野映画にも通じるような。
最近感情が動いたことがない人は…見るべし、パラサイト半地下の家族を… pic.twitter.com/HCpTKyTMra
— 貧乏人 (@MrUOehuyOo5bYXx) January 14, 2020
先週発売の週刊文春で4人全員が5点満点だったのでその時点で見ること確定!
ファミ通だったら間違いなく殿堂入り案件。
ちなみに同週に紹介されてたもう一本は『フォードVSフェラーリ』も1人4点がいたものの、他は全員満点でこれまた殿堂入り映画。
1月は新作映画のアタリ月!
…ということで『パラサイト 半地下の家族』の感想&ネタバレを早速GO!
本当なら映画の感想を誰かと分かち合いたいけど、残念ながら友人も家族もいないのでブログにて思いっきり独り言放ちます。
ちなみに見たのは平日の日比谷TOHOシネマズ。14日は1,200円のサービスデーなので仕事帰りの最終回にゆったり鑑賞。
客は6割くらいの入りだったかな。
- 半地下から連想したもの
このタイトルを聞いた時に真っ先に連想したのが去年見た『US(アス)』ですね。
で、実際に今日見て『ああ、似たような話だな。こんな題材(経済格差)が世界のトレンドなんだろうな』と勝手に頷いていました。
双方ともすぐ近くにいるのに、片や金持ちからは地下の住人には気にも留めず毎日を生活し、片や地下で貧困にあえぐもうひとつの貧乏人ワールドの住人はすぐ上にいる金持ちたちを意識しながらも抜け出せずに毎日を悶々と生きていく。昔、常盤貴子&織田裕二のドラマで『真昼の月』ってあったけど、このタイトルを思い出したね。
常に月はあるけど、日中は気付かない、でも確実にそこにいるよって話。
でも真昼の月って、良く目を凝らしてみれば見えるんだよね。ちゃんと見ようと思えば。あと、邦題の『半地下』の『半』ってのがいいね。
『半グレ』の『半』と同じ。スゲー中途半端な存在。
どっちに転んでもよかった存在。
実際、半地下家族の息子は大学受験して合格していれば紙一重の差でまた違う生活が待ってたかもしれない。
貧民と金持ちは結果としては圧倒的な差が生まれてるけど、その工程はほんの些細な差の積み重ね。
まあ、それが大きいっちゃー大きいんだけど。
半地下家族も全く万引き家族のように一線を越えていたわけでは無く、一応ビザの箱作りをしていたようにギリギリのところで地道に真っ当な均衡を保っていた印象。松岡茉優みたいに娘さんは風俗で働いてなささそうだったし…兎にも角にも地下じゃなくて、半地下に住んでる意味ってのがしっかり見えてセンスあり! - 勝手に肩透かしを喰らったシーン
・金持ちの息子がモールス信号を解読したシーン
当然何かアクションを起こすと思ったら…何もしないってオチ。
金持ちは貧乏人のSOSなんか無視するよってことですか。
それも純粋無垢であるはずの子供にその役回りをさせるという。
いえいえ、子供は純粋無垢でありません。
そんな綺麗に単純な存在じゃありません。
金持ち娘も『弟はわざと天才を演じてる』みたいなこと言ってたし
・暴風雨の夜、金持ち夫婦がいちゃついてるソファーの真下で半地下家族たちが隠れてるシーン
てっきり雷で明るくなって窓に半地下家族が映ったのが金持ち夫婦に見えてバレる!って妄想してました。 - やっぱ階段て、いいですよねって話
『ジョーカー』のダンスシーン、『君の名は』のラストの主人公二人が再開するシーン、古くは鎌田行進曲。
階段て印象的なシーンに使われることが多い。
半地下家族が住んでる近辺の階段のある風景はなんか落ち着く。
日本人のDNAになんか刷り込まれてるのかな。
長崎もそういや良かったなあ…
ちなみに幼稚園の時に、駅の階段を見事にコロコロと転げ落ちたけど無傷だったのはいい思い出。
あの頃は受け身が取れてました。 - いい映画は感情がジェットコースターのように揺さぶられる
心がざわつかなければ映画を見る価値が無い!そう思ってるのでジェットコースター気分を味わえるのは良作の証拠!
しかもその振れ幅がデカいし、あらゆる感情の方向に振り回されるしで疲労困憊!
でもあっという間に駆け抜けるから心地よい疾走感。ほんと長さを感じさせない手腕はすごい!
前半から中盤、後半にかけて作品のトーンが一気に変わる様はほんとに感動すら覚える。
それも自然にギアチェンジ。脱帽。 - 金持ち家族、半地下家族双方の描写のバランス感覚が素晴らしい
この手の映画を安っぽくすると、恐らく金持ち家族をもっと嫌な感じの鼻につく描写にしそうだけどそうはしなかった。
どちらかというと善人側の人間として描かれている。
あの程度はスメハラには当たらないしw
逆に半地下家族もどこか共感して応援したくなる余地を残している。まあ、人間そんな単純な善悪の対立じゃないよってことなんだろうけど、金持ち家族の描写の抑制の取れた感じが好感でした。 - 格差問題を解決するにはどうすりゃいいの?
最近『世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか?』を読んだんですが、それと絡めて考えてみたら…
社会を変えるには、その社会システムの要求に適合しながらシステムを批判的に見ることだと説いています。
つまり、システムを修正できるのはシステムに適応している人だけだと。
新しいシステムにリプレースしようとしてもオウム真理教や日本赤軍のように失敗に終わります。だから、半地下息子は受験戦争に打ち勝ってまずはシステムに適合していこうとしたわけで…
(本人はそこまでの意識は無いと思いますが)ただし、適合しても結局そのシステムの恩恵を受け続けたまま、悪いシステムだと頭の片隅には思いながらも見て見ぬふりをして体制側にべったりくっついて利権をむさぼってしまう…そこを変えていくには高い美意識(美術の素養があるとかないとかの話ではなく、善悪の分別の話)が必要なんですね!
残念ながらこの金持ち家族にはその美意識は乏しかった…このように高評価ではあったのですが…
オールドボーイは超えられないなあ。前半の、のんびりほんわかトーンがちょっと長すぎた印象。
和牛の漫才みたい。エンジンのかかりが若干遅い。
伏線回収にかかるのが遅かった点がマイナス点で☆4つ。
そもそもそんなに伏線も無かったけどね。そういえば、『犯罪であろうと国を売ろうと無計画なら失敗にならない』ってセリフは良かったなあ。
目先の支持率、目先の選挙…日本も韓国もひいては世界も、計画があるように見せかけた無計画な現実。
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